2015年3月20日金曜日

ドングリとわたし


 わたしが愛用しているペンケースの中にはドングリが二つ入っている。一つは、おととし公園前の歩道でごみ拾いをしている時に拾った。前日の嵐で強い風に押されて飛んできた枝にしっかりついていた。わたしはまるで森の熊に出会ったような心おどる思いになった。もう一つは、昨年わが家の庭で拾った。これはどこから来たのかわからない。鳥が口にくわえて運んで来てくれたのだろうと、勝手に想像している。
 書きものをする時、ペンケースのチャックを引くとドングリたちは「こんにちは」と顔を出してくれる。ノッポちゃんと太ッチョさんだ。今は少し黒ずんできたが、まだつやが残っている。机の上に置くといつまでも立っている。時には手のひらに乗せてじっと眺めることもある。書きものが終わるとドングリたちはまたケースの中へ…
 動物たちの冬ごもりの季節に入った。熊たちはおなかいっぱいにごはんを食べたかな。ノッポちゃん、太ッチョさんに聞いてみよう。
 平成26年の冬(佐野)

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こちらの文章を書いてくださった佐野さんは、日本熊森協会、東京支部の会員です。一般財団法人日本熊森協会は〈クマのすめる豊かな森を残すために、奥山自然林の保全・再生の活動をしている実践自然保護団体〉です。自然林のナラやシイなどの広葉樹に実るドングリは、特にクマなどにとってとても重要な食べ物です。


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